このページの情報は 2006年1月21日13時23分 時点のものです。 |
「ハウルの動く城」感想 癒される側から癒し手へ 「ハウルの動く城」をようやく見ました。
今、アメリカで劇場公開されていますので。 これだけたくさんの人が見た映画もないでしょうが、ハウルに対して適確で クリアカットな感想が出ていなかった、その理由がよくわかりました。 私は作品として、大変満足しています。 ★★★★1/2ですね。 「ハウル」は、語りづらい映画です。 言語化しづらい映画ということです。 「難しい」と感じた人も多いでしょう。 それは、非言語的なメッセージとして、多くのことを直に伝えているからで しょう。 この映画を分りづらいと思った人でも、映像の美しさとソフィーの純粋さは、 理解できたでしょう。 それで十分なのではないでしょうか。 「映像で伝える」というのは、映画の基本です。 それを、そのまま受け取れば良いのです。 そうすれば、何も考えなくても、いろいろなものが伝わってきます。 余計なことを考えれば考えるほど、理屈で考えれば考えるほど、映像的なメ ッセージを受け取ることを邪魔するのです。 とは言っても、「『ハウル』をしっかりと説明して欲しい」と思っている人 も多いに違いありません。 この映画をしっかり説明すると、このメルマガで10回以上は必要はなってき ます。 そこまではできませんが、今後何回かは、とりあげていきたいと思います。 まず今回は、私が最初に思った印象から。 「これって『千と千尋』そのまんまんじゃん」 「ハウル」は「千と千尋」と同じ話です。 舞台を日本的な世界観から、西洋的な世界観へ移しただけです。 帽子職人の平凡な少女ソフィー。 彼女は、老化の呪いをかけられます。 呪いを解くために、ハウルの城に居候し、魔法が日常化する奇妙な世界での 共同生活が始まります。 ソフィーの最初の目的は、呪いを解くこと(元の自分に戻ること)でした。 「元の世界に戻る」ことを目的とする、千尋の冒険と同じです。 最初は一人だったソフィーに、どんどんと仲間が増えていきます。 どの映画でも、仲間は七人まで増えていきます。 ソフィー、ハウル、カブ、マルクル、カルシファー、荒れ地の魔女、ヒンの 七人です。「千と千尋」では、千尋にハク、リン、釜爺、カオナシ、坊、銭婆 の七人です。 ちなみに、『スター・ウォーズ 新たなる希望』では、ルーク、C-3PO、R2- D2、オビ=ワン、ハン・ソロ、チューバッカ、レイア姫の七人です。 「ハウル」は、ソフィーの呪いが解かれる映画、かと思って見ていくと、そ うではないのです。 ソフィーが癒される映画、ではなくいつのまにかソフィーが「癒し手」へと 変化していきます。 傷ついたハウルを癒し、荒れ地の魔女を癒し、カブを救い、瀕死のカルシフ ァーを助けます。 この部分が、「千と千尋」と全く同じです。 ハクやリンに助けらればかりいた千尋が、物語の最後ではハクやカオナシを 癒す「癒し手」へと成長、変化していくのです。 その癒しのパワーは、千尋の場合は「頑張り」「一生懸命な気持ち」です。 ソフィーの場合は、「純粋な心」ということになるでしょうか。 千尋もソフィーも、ごく平凡な少女。 魔法や超能力を持っているわけではありません。 それが、「頑張り」や「純粋な心」という、誰もが持っているかもしれない、 平凡なパワーを使って、周囲の人たちを癒し、元気付け、やかで大きな変化を 起こすわけです。 既にお気づきのように、これは宮崎作品の多くに通じるテーマです。 この癒される側から、癒す側への視点転換こそが、宮崎映画の大きな魅力だ と思うのですが、「ハウル」ではそれが今までの作品以上に明快に打ち出され ていました。 誰でも人を救えるということです。 平凡な少女にもできたのだから、あなたにも、私にもできるはずです よ・・・と。 誰にでもやればできますよ、と。 一生懸命な気持ち。必死に頑張ること。純粋な気持ちを持ち続けること。 それが大切ですよ、と。 非常に勇気付けられるポジティブなテーマを、宮崎監督からいただきました。 これが、私の映画を見終わった直後の感想です。 補足 私が見たのは、英語吹き替え版です。 キムタクの声のハウルが見たかった。 英語版では、ハウルはクリスチャン・ベイルの渋い声でした。 そしてソフィーが、ジーン・シモンズ。荒地の魔女がローレン・バコール。 カルシファーはビリー・クリスタルでしたから、豪華です。 特に、カルシファーのビリー・クリスタルが、良かった。 このアメリカ版を見られた、というのも日本の方から見ると、うらやましい かもしれまんね。 アメリカの吹き替えのレベルというのは、非常に高いです。 音律を合わせやすいからでしょうが、口パクと音が完全に一致しているのが 不思議です。 この映画、宮崎駿を全く知らない人が見たら、アメリカ映画だと思うでしょ うね。冒頭に「Disney Present」とデカデカと出ますし。 アメリカ人のリアクションは、かなりよかったです。 笑どころでは、常に場内が笑いに包まれていましたから。 (2005年7月4日)
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価格 | 商品名 | 納期 |
¥ 7,140 | ハウルの動く城 特別収録版 1/24second付き | 通常24時間以内に発送 |
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