宮崎駿を読む―母性とカオスのファンタジー
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人気ランキング : 295,280位
定価 : ¥ 1,260
販売元 : 鳥影社
発売日 : 2001-12 |
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おもしろい |
宮崎アニメはあまりよくわからないけれど、この本はおもしろかった。こんなふうに映画を見ることができるんですね。私みたいなしろうとは目からうろこですが、宮崎マニアの方々を刺激しそうな本。
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視点の単純性 |
ごく控えめに言って、本自体の量に比べ、著者の考えを記述した領域が圧倒的に少ない。紙面の殆どをストーリーを追い、科白を引用する事に費やしている。
そのためだろうか、著者の考察は、『何故そのような結論が下せるのか』という、逐次的なプロセスが明らかにされていない。
おおよそ、ストーリーを緻密に、逐次的に追い、表現の素晴らしさを吟味できる著者の考察とは思えないほど、論理が飛躍しているような印象を受ける。論理のある段階までは納得出来るものもあるのだが。
個人的には、宮崎さんの作品を読み解くには、純粋に思想面から切り込むよりも、氏が影響を受けたと公言している『照葉樹林文化』等、様々な視野から考察する必要があると思う。氏は網羅的な人だと思うからだ。
そう言う意味では、著者は『もののけ姫』を考察の対象に入れるべきであったと思うし、同作品を落としたのは、考察の上でかなりイタいと思う。少なくとも、漫画版『ナウシカ』は、その延長線上にあると言えるであろう『もののけ姫』と併せて考察するべきだと思う。
結論として、著者の視点はあまりに固定化していて、柔軟性を持たないように思われる。
宮崎さんが『千と千尋』を、千尋の視点によって描いたように、著者には、宮崎さんの視点に立って、彼の世界を見つめることを進めたい。
誰かを「読む」というのは、そういうことであろう。
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こじつけがすぎる |
一つの物語は何通りにもよまれて当然なものではあるが、この程度の分析が一冊の本になってしまうとはいかがなものか?ある種、想定される反駁を論破してこその読みであるような気もするのだが、筆者から帰ってくるのは「夢が壊れるようで嫌なのでしょう」の一言のみ。いやいや、そうではないのですよ。千と千尋の不思議の町の「生あります」の看板にエロティックなものを読むのであれば、その看板がアニメーションと言う共同作業の場所で一体誰によって指定されて、そこにあるのかまで明かして欲しいわけです。小説であれば作者がそれこそオーソリティですが、アニメーションを読む上で、一体誰がどこを分担したのか、どこまでが背景担当のオリジナリティだったのか、わからないまま「宮崎駿」のエロティシズムを背景に読むと言うのはどうでしょうか?ということなのです。この手の粗さは、どうしても全体の解釈の「こじつけがすぎる」感を強くしてしまいます。お勧めはできない一冊です。
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理屈はあってはいるけど… |
宮崎駿さんの世界は私にとっては夢のあるものと思ってみていたので、正直言ってこの本の見解にはちょっとがっかりしました。
あまりにも深読みしすぎではないかという印象が強いです。
こういう考え方もあるのかと、見ることも出来るんですけど。
私は特にトトロの部分の論述が心に残ってるんですけど、ちょっとそれはないだろうって思ってしまいました。つじつまは合ってるんですけどね。
夢を壊したくない人にはあまりお勧め出来ません。
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期待外れ |
神話やらなにやらになぞらえてみる見方は面白いが、その中身には共感しない。
本の半分は、「千と千尋」やら「ナウシカ」などお題となる映画のあらすじなのはいかがなものか。