宮崎駿の「深み」へ
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人気ランキング : 136,881位
定価 : ¥ 819
販売元 : 平凡社
発売日 : 2004-10 |
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期待はずれ・・・ |
着眼点は面白く、この線できちんと考察できれば、本当に宮崎氏の「深み」に到達できたのかもしれない。
しかし、筆者の知性と思考力が「浅」いのか、結局全く「深み」に達していない。出足は面白そうだっただけに読むにつれがっかりさせられた。また文章を通じて「自分は安易に宮崎作品を批判しません」という善意がおしつけがましく感じられた。
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いらない |
いつだか、本の中で宮崎さんが自分の作品を分析した瞬間に馬鹿馬鹿しくなると仰っていた事があったが、まったくその通り。いらない、少なくとも本にするような事ではない。
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文学の視点で |
本書は「ナウシカ」の「触れる」という仲介的行為から始まります。
次に「ラピュタ」と「ガリヴァー旅行記」が比較され、
「トトロ」における単なる「自然」と
特別な「自然」について説明されます。
また「宅急便」での「性」の描写、
「紅の豚」に描かれた制作会社の裏事情、
「もののけ姫」で「衣服」の謎について論を展開します。
そして「千と千尋」における「ゆ=喩」、
原作『ハウルの動く城』まで語らています。
筆者は宮崎作品に共通するのは
「有機的世界観」だと主張しています。
生き物は「腐」になり、それが「肥料」となって
次の生命を育てるというサイクルです。
筆者自身述べているのですが、
児童文学関連の立場に立って宮崎アニメが批評されています。
文学的に見るとこうなるのかと思いました。