人間と象徴 上巻―無意識の世界
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定価 : ¥ 1,995
販売元 : 河出書房新社
発売日 : 1975-09 |
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ユング心理学について、一般向きに書かれた本 |
1959年、イギリスのBBCがユングへのインタビューをTV放送した。元来ユングは彼の研究を大衆化することに反対であったが、この放送で医者や心理学者ではなく一般視聴者からの反響が大きかったので、はじめて一般向けの本を書き下ろすことにした。
本の執筆はユングと彼の弟子、ユングは全体の構成を行い、弟子たちの草稿を承認した。彼が自分の執筆する章を書き上げたのは、亡くなる10日前だった(1961年6月)。
監訳者である河合隼雄氏は、1961年、ユングが亡くなった後になるが、スイスのユング研究所の門を叩き、1965年にユング派の精神分析家の資格免許を取得された。
河合氏は帰国後、1967年『ユング心理学入門』を皮切りに精力的な執筆活動をはじめられる。
本書は原書が1964年に出版され、翻訳は1975年に出された。
BBCのインタビュアーであり、この本の企画をユングに持ちかけたジョン・フリーマンは序文で、
「ユングの論法は(彼の同僚のも)、鳥が木の上をまわるように、対象の上を、上のほうへ旋回してゆく。最初、地面の近くでは、鳥は葉や枝のいりまじったのを見るだけである。しだいに鳥が高く高く舞いあがるにつれて、木の周囲からみた側面が全体を形づくり、その環境と関連づけられる。」
とその印象を叙述している。
一般向きに書かれた本であり、ユング心理学への入り口にふさわしいと思える。
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ユング心理学の概観に好適な本 |
これの本は、もともとテレビ番組向けに行われたユング博士とのインタヴューが発端となっているということもあって、全体を通してドキュメンタリー・タッチで、豊富な写真、絵画、図版を使用して、難解といわれるユング心理学の概観がえられるよう判り易く解説している。
ユング心理学は、宗教、思想、哲学から芸術、神話を含む人間の精神活動のすべて(そして人生そのもの)がその対象となりえる。そのため、第一章「無意識の接近」をユング博士が担当し、その他の章はテーマごとにそれぞれユング派の学者(そして、それぞれの翻訳者)が執筆している。
日本由来の資料も多く使われている。