ユング心理学入門
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人気ランキング : 7,040位
定価 : ¥ 1,325
販売元 : 培風館
発売日 : 1967-10 |
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ユングについて痒いところに手が届く一冊 |
ユングはわかりにくく、ちょっと怪しい、というイメージだったのですが、実際のケースをおりまぜてあり、夢分析などコンプレックスなど一番難解と感じるところがとても明快に述べてあって、長くかけて読むつもりで購入したのですが、一気に読んでしまいました。フロイト、アドラーやロジャーズなどの学派との違いにも配慮してあることで私のような心理学専門外の初心者にも全体像が把握できるように配慮してあったことは本当に痒いところに手が届く本、といえるでしょう。1967年の初版発行で、同性愛などいくつかの部分ではかなり古い認識といわざるを得ないところもありましたが、それを差し引いても余りある内容といえます。
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今や歴史的名著! |
もう30年以上も昔の著作ですから、これをもってして「ユング」の全貌云々という事は確かに難しいです。しかし日本人の書いたユングの入門書は、当時これしか無かったのです。その最初の役割は歴史的にも十分果たしていると思います。いま河合氏に『ユング心理学入門』を新に書いてもらうとすれば、当然違った著作になるはずです(当たり前ですね)。
しかし本書を今読み直してみると、ただ単純にユング心理学を紹介しているのではなく、すでに河合氏自らの視点でユングに言及している事が良く解ります。反骨精神で"ユング研究所"の卒業資格を取得した河合氏ならではの姿勢とも言えるでしょう。 河合氏の良い所はユング派の資格を持ちつつも、ユング自身が嫌ったように、"ユンギアン"では無い事です、ユング信者では決してありません。大変柔軟で優秀な心理学者ですから・・・・
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「入門」というより「初心者向け」 |
「入門」というより「初心者向け」と言ってもいいほど、読みやすい。
学者って、とかく専門用語を並べ立てて、難しい表現で固めてしまいがちだけど、この本なら心理学にちょっぴり関心がある高校生でも大丈夫。
症例を挙げての説明や、比較などが多く、とても分かりやすい表現で、読みやすいんです。
フロイト批判が少し臭うかな?というところで、星4つ!
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ユングに興味を持ったら、真っ先に読んだ方がいい本 |
河合氏が本書に込めた意図は次の通り。「ユングの考えを全般にわたって解説するような無謀なことはやめにして、筆者が自分の体験を通じて、それなりに理解できた範囲を、自分の言葉で表現するように努めることにした。」
重要なことは、心理療法家である河合氏が、心理療法の実際という視点に基づいて書いている点である。理論云々の解説だけではないので、セラピストやカウンセラー、それを目指して勉強中の人のこころに届く内容になっている。
「(治療者は)、自ら生きることの意味を求めて苦闘し、解決への努力を払っていないで、どうして他人の生きることの意味を見出す仕事に役立てることができようか。」 なかなか厳しいがその通りであろう、自戒を込めて。
読んで何かが分かるというより、簡単には分からないことが沢山あるんだなあということが分かる、その意味で始まりの本、まさしく入門と感じた。
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アプローチのための理論的枠組みとしてのユング心理学 |
〜フロイト以降の心理学はその発展進化型、あるいは全てを性的欲求に帰する反フロイト心理学のどちらかの道をたどる事になる。ユングの心理学は大雑把に言うと、超越的な無意識が神話的な物語構造を通じて人間心理に作用するというもので、集団的無意識など非科学的な要素を極力排除しようとしたフロイト心理学とは自ずと一線を画す。神話体系の解釈など、後の〜〜構造主義にも相通じる発想が見られる。箱庭などの物語創作系治療法のはしりとも言える。実用性には多分に難があるが、心理療法に興味のある人は目を通しておいて損はない。〜