ゲド戦記 (最後の書)
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人気ランキング : 111,486位位
定価 : ¥ 2,310
販売元 : 岩波書店
発売日 : 1999-12 |
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真の人生 |
4巻は期待以上のものに仕上がっていた。3巻が出てから18年経てから出版されたようだが、老年になってもゲドの人柄が手にとるように解る。ここまで人間の力が朽ちるまで書かれている本はないだろう。今の時代にも必要とされる、富や権力に執着しない大賢人。これこそが【真】の人生であり、人間だろう。子供にはこの本のような良書を読ませたい。あなたも『ゲドの武勲』の詩を一緒に口ずさみましょう。
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たどりついたもの |
小学生のころ夢中になって読んだゲド戦記,少しだけ大人になってその深さに感動したゲド.そして沈黙をやぶったこの「最後の書」.自分の成長と合わせて変化する視点以上に,この作品でゲド戦記の持つ意味は激変する.魔法使いとしての力を失い,本当の意味で自分を見つけることが出来たゲドの人生再発見の記録とも言えるのではないか.それには,ル・グインのフェミニストとしての一面の影響が色濃く,時代の流れを感じさせる.高校生だった自分がこの本の初版を手にとったとき,正直,拒絶反応をみせた.面白くない,図書館の司書のお姉さんに「青い」と言われた.今になって青かったのが分かる.これは児童書ではない,これから自立しようとする大人のための本である.それは年齢など問わない,他人を理!解しようとするその行為を始める時が自立なのだから.